【人は、はかなくて滑稽で弱くて、そして強い~『アダムズアップル』(2005年デンマーク)~】 | ザ・体験談【北欧映画へのお誘い♪】
『トーキョーノーザンライツフェスティバル2017』
→要するに北欧映画祭に今年も参加してきました。

ハリウッドNo.1の日本においておそらく
有数のマイナージャンル(笑)北欧映画✨

と言うか、そこのあなたっ❗️

もうこの段階で読むのやめそうに
なってませんか(笑)?

「なんかシブそう」
「難しくてよくわかんなそう」

と納豆を食べる前に拒否しちゃう関西人みたいこと、
どうか言わないでおくんなさいな( ̄▽ ̄)♪

この数年、実はハリウッドの方で逆にブームに
なるなど、北欧映画・ドラマは世界的に見ると
かなり注目されています。

自然の風景などに代表される映像美、静かな感情表現。
はかないものを美しいとする感性など。

それらは日本人の感覚と近く、もしかしたら
アメリカ映画より共感できるところは
多いのでは?

と私なんぞはこっそり思って観ているのですが…。

今回上映された作品の中で見事に日本未公開(笑)

しかしあまりに心に刺さりすぎて映画館の
リピートはまずしない私がリピート。

3回のみの上映なのに、2回も観に行ってしまった
作品があります。

それがデンマークのブラックコメディ映画

『アダムズアップル』

です。

なお今回の体験談はストーリーの
『ネタバレ』をします。

『興味を持っても実際に観ることが難しい』
という理由ですがいやな方はそのあたりは
飛ばすようにしてくださいね♪

 

【前半あらすじ】
物語はデンマークの緑豊かな片田舎に
刑務所帰りのネオナチのアダムが
やってくるところからはじまります。

どうやら刑期を軽くする代わりに
教会での更生プログラムを
受けることになったらしいアダム。

しかし、行った先の教会は
…とにかくみんなヘン(笑)

先にプログラムを受けている2人のメンバー、
カリドとグナーは更生する気なんてさらさら
なくて、近所で地味に強盗してきたり、
アダムの持ち物をごく普通に盗んだり。

監督係でもある教会のイヴァン牧師は
そんな状況にあるにもかかわらず、
とっても能天気( ̄▽ ̄)✨

「みんな更生しているから、
悪いことは一切していない」

と言い切り、さらにアダムが適当に答えた
ことをそのまんま間に受け、

『教会の庭にあるリンゴの木で
ケーキを作ること』

を彼の更生プログラム終了のための
課題に設定します。

その直後、リンゴの木にカラスの襲来や
虫食いが発生したり、アダムがやけど
したりオーブンが壊れるなど様々な問題が
起こるのですが、

「これは悪魔による試練だ」

とイヴァン牧師はまたも言い切り、
みんなと一緒に木を守ろうとします。

どんなことがあっても『神が守ってくれる』
と前向きに考えリンゴにたかるカラスを
退治するために強盗の前科のあるカリドが
どっからか自分の銃を持ち出して(笑)
鳥を撃ち始めても、全く気にしないイヴァン牧師。

その言動にイライラさせられっぱなしのアダムは、
イヴァンの考えは誤りであること。

リアドもグナーも更生などしておらず、
トラブルの数々も悪魔の試練などではなく
単なる災難であることを認めさせようとします。

グナー達の悪事の証拠を見せても、頭にきた
アダムがフルボッコΣ(゚д゚lll)❗️にしても、
ちっとも自分の考えを変えない…。

前向き思考にしてもあまりに不自然すぎる
イヴァン牧師のことをアダムが不思議に
思い始めたころ。

アダムは教会近くの病院の医師やグナーの語る
イヴァン牧師の過去、そして自分が実際に見た
牧師の姿から、彼が『周りが見えていない』
のではなく…。

『悲しいこと、つらい現実を受け入れない。
完全に聞き流すか、頭の中で全く違うことに
置き換えて、なかったことにしてしまっている』

ことに気づくのです…。

 

【似た者同士】
物語はやたらと明るくて一生懸命だけど
人の話をちっとも聞かないイヴァン牧師と
むすっとした表情のすねたオーラ全開の
アダムの、ズレまくりの車でのやり取りから
はじまります。

一見とってもまともそうなんだけど、
生まれてくる子が障害を持っている可能性が
高いんです❗️と泣き崩れている妊婦の話を
聞きながら

「妊婦さんのクッキーの枚数が自分のより
少ないんだけど、これどういうことっ
( *`ω´)?」

と妊婦を完全無視してクッキーを持って
きてくれたアダムを問い詰めちゃうような

『神に仕える不思議ちゃん』

であるイヴァン牧師(しかも結局、クッキー
全部自分で食べるし( ̄▽ ̄))。

しかしその半生は悲惨そのもの。

本来守ってくれるはずの親には虐待され続け、
愛した人は自殺し、残された子供には
重い障害があり、自身も脳腫瘍を患い、
実はそう長くはありません。

彼の不自然なくらい明るい言動は、つらすぎる
出来事を乗り切るために身につけた、
彼なりの処世術です。

そしてそれは本当にギリギリのラインで
成り立っています。

本当のイヴァン牧師はもうこれ以上の悲しみを
受け入れることができず、病に侵された脳を
更に酷使しながら『事実の置き換え』を
行っていることがだんだんわかってきます。

そのため精神的に追い詰められると脳に負担が
かかりすぎて耳から出血してしまったり、
意識を失って倒れてしまいます…。

車の中で都合が悪い話になると、
ビージーズの『愛はきらめきの中に』を
かけはじめる&大音量にして逃げようと
するし(笑)

プログラム参加者の1人グナーはそのことに
うっすら気づいているので、牧師をそっと
見守りつつ、何かと彼につっかかるアダムに
牧師と議論するな!

→その『楽園』を壊すなと
やんわりと忠告します。

しかしアダムは耳を傾けず、その真意を
理解しようとしません。

周りのあるありとあらゆるものにイライラし、
特にその矛先は監督係であり、嫌なことに
対してちっともめげない(ように見える)
イヴァンに向けられます。

いじめてもいじめても折れないイヴァン牧師を
やり込めたいと思うあまり、ある嵐の夜、
アダムはその悲惨な『現実』を本人に
直接ぶつけた挙句、こんな言葉を
突きつけてしまいます。

「悪魔ではない。あんたをこんなにひどい目に
合わせているのは、あんたが信じている神様だ」

その言葉はイヴァン牧師の最後の支えである
『信仰心』を打ち砕き、肉体も大きな負荷に
耐え切れず、牧師は教会で意識を
失ってしまいます。

リンゴの木が雷に打たれて折れてしまう
のとほぼ同時に…。

アダムの行為により病状が悪化し余命告知を
受けたイヴァン牧師がプログラムの終了を
告げると同時に、精神の拮抗を失いパンドラの
箱が開いたかのように悪事を再び実行し始める
プログラム参加者たち。

すっかりヤケになって流れで(?)
ガソリンスタンド強盗に行くことになった
プログラム参加者達がうっかり人を
傷つけないように。

こっそりフォローしたりする中、
アダムは自分が何をしてしまったかを
痛感します。

その後アダムの腐れ縁のネオナチの団体さんが
教会を襲撃に来たり、彼らとのもめ事の末に
イヴァン牧師がうっかり頭を彼らの銃で
撃ち抜かれちゃったり✨、

いかにも『デンマーク映画』らしい、
いろんなイベントがあるのですが…❗️

 

【モデルは『ヨブ記』】
ラスト部分のあらすじは後ほど、
ということで本作のテーマは

『自分の人生は自分の解釈によって決まる』

ではないかと思います。

アダムとイヴァン牧師は結局は似た者同士。

アダムの過去はもちろんイヴァン牧師の過去に
ついても詳細は語られませんが、2人の心には
それぞれ大きな『闇』があります。

つらいことが続いた結果、アダムは『現実』に
負けて、いじけて周りを傷つけることにした人。

イヴァン牧師はギリギリまで追い込まれるも、
『現実』を頭の中で変換して『楽園』の中で
生きることにした人だと感じます。

もちろん、都合が悪くなるとものすごい早口で
相手を論破し、重度の脳性マヒで一歩も歩けず
反応もできない自分の息子のことを

「歩けるし、話せる」

と言っているのはちょっと問題だけど(笑)
イヴァン牧師は一方で、とても正確に現実を
認識しています。

息子さんに対して車イスを用意するなど、
実際やっているケアや周りにお願いしている
フォローはその状況に合っているものですし、
彼の世界には本来存在しない死も悲しみも
きちんと理解している。

まともじゃないけど、完全におかしくなっても
いない。

いっそのこと完全にブッ壊れていた方が幸せかも
しれないのに、イヴァン牧師の頭の中は
正常と異常が複雑に折り重なり、微妙なバランスで
不思議な世界が構築されています。

その姿は周りにある種の明るさと希望を
与えているため…。

やっぱり闇を抱え社会での居場所を失っている
プログラム参加者や妊婦は本当はいつでも
出ていけるのになんとなく教会に居ついてしまう。

ちょこちょこ悪さはするけれど(笑)
その闇は自然と緩和されています。

そんな『楽園』が構築されているのに、
気づかないのは『常識』や『現実』、
『自分の感情』にとらわれすぎて、
逆に目の前の世界が見えなくなっている、
アダムだけなのです…。

この物語は聖書の『ヨブ記』が基になっています。

『ヨブ記』は敬虔なヨブの信仰心を試すため、
神と悪魔が賭けをし、ヨブに様々な不幸が
もたらされる話。

財産である家畜も子供も殺された挙句、重度の
皮膚病に感染させられ、妻にも見捨てられあげく
埋められて苦しみの中で死を待つだけ…。

な〜んて状況に追い込まれる、ヨブの身にな
ったらたまったもんではありませんが(笑)

「あんたがいいことしてるしてないにかかわらず、
人生でひどいことはいろいろ起きるから、
それを嘆かず、乗り越えなさい」

ということが書かれた話であり、
ジョン・アーヴィングなどキリスト教圏の作家
にも大きな影響を与えている部分だと
思うのですが、ここ語りだすとまた長いので
省略しますね♪

本作ではヨブはイヴァンで、アダムはヨブを
苦しめる悪魔と言ったところでしょうか?

そして『アダム』、『リンゴ』という言葉からも
わかりますが、『楽園追放』のエピソードも
関係しています。

アダムはアダム、イヴァン牧師はイヴァン→イヴ。

ただしこの物語でヘビにそそのかされ、
『知恵の木の実』を相手に食べさせる
→現実を無理やり相手に認識させようと
するのはアダムの方ですが。

ヘビにあたるのはおそらく教会近くの
病院の医師です。

いや〜、この人、ぶん殴ってやりたいっ❗️と
思わず思ってしまうような、すっごくイヤな人
なんですっ( *`ω´)❗️

西洋医学や医学的見地のみを絶対視し、
「何事においても真実を告げるのが1番だ」
がモットーである医師は、相手の気持ちは
御構いなし。

フォローもせず人が希望を失うようなことを
平気で言います。

そして口では「イヴァン牧師のことは好きだ」と
言っておきながら、医学的にはとっくの昔に
死んでいるはずの牧師が生きていることが
彼の価値観を否定しているようで許せない。

まさにヘビがイヴにリンゴのことを教えた時の
ように。

親切そうな顔をしてアダムが本来知らなくても
いいイヴァン牧師の過去や病状をわざわざ
教えたり、助言するふりをしてアダムが牧師を
傷つけるように仕向けます。

話が進むうちに、アダムを見ているうちに
私はすごく恥ずかしい思いを感じ始めました。

だってアダムって、ほんのちょっと前の私
そのまんまなんですもの^_^;

いつも自分だけが不幸だと言いたそうな
いじけた顔をして、それだけでは収まらず、
楽しそうな人、幸せそうな人、傷ついた心を
抱えている人に対して、余計なことを
言いたい放題❗️

「自分は正しい」
「現実を見ないあいつが悪い」

と思いこみ、ボロボロに傷ついている
イヴァン牧師の心も、それを気遣う周りの
ことも、悪意ある医師の行動もまるで
見えていないのですから。

そのためアダムの行動を見るにつけ、
心の奥がギュッ💓と痛くなりました。

イヴァン牧師についてはその不思議ちゃん
行動に最初は笑いつつ、背景が見えてくる
といろんな思いがわいてきました。

体にただならない負担をかけ、現実の世界
とは違う世界を生きているイヴァン。

もちろん死ぬとかはなしだけど、こんな
生き方をしていてイヴァンはいいのだろうか?

その生き方は果たして幸せなんだろうか?
こんなことでいいんだろうか?と。

 

【後半あらすじ】
あっ、私間違ってた〜( ̄▽ ̄)。

そのことに気づいたのは、銃でイヴァン牧師が
撃たれて以降の展開からでした。

昏睡状態になった牧師のお見舞いに行く前、
アダムは数々のトラブルの中でかろうじて
残った小さなリンゴを使っておそらく
人生初めてのリンゴのケーキを作ります。

その小さなケーキを持って病室に
行ったところ…牧師の姿はベッドから
消えていました。

居所を知るためアダムが医師を訪ねたところ、
荷造りしていた医師から、

・本来目覚める見込みのないイヴァン牧師が
目覚めて庭に散歩に出て行ったこと。

・弾丸は牧師の命を奪わなかっただけでなく
脳腫瘍に当たり、なんと腫瘍を摘出したこと。

という2つの奇跡(笑)が起きていたことを
聞きます。

「あいつはまたまた助かってしまった。
もうこんなところイヤだ❗️」

悪魔の医師はそう言って去っていきます。

包帯ぐるぐる巻き状態ではあるものの、
とっても穏やかな空気を身にまといつつ、
イヴァン牧師は庭のベンチに座っていました。

「やぁ」

そう声をかけてくるイヴァンの隣に
アダムは座りリンゴのケーキを
2人で食べようと提案します。

小さなケーキをさらに半分に切って、
静かにそれを口にする2人。

…あっ❗️

包帯で片目しか見えなくなっちゃってますが、
目を細めてとっても嬉しそうにケーキを
食べるイヴァンを見て、

「この人めちゃめちゃ強くてやさしいんだ」

はっとさせられました。

つらいことがありすぎてくじけそうで、
それを乗り越えようとしてちょっと
不思議ちゃんになっちゃっては
いるけれど(笑)

イヴァンは自分の不幸について誰のことも
責めません。

虐待した親も自殺した奥さんも自分の人生を
不幸にしまくる何者かのことも
…そしてもちろんアダムのことも。

どんなに殴られても、ひどいことを言われて
傷つけられても。
全て許して仲良くケーキを食べてしまう。
しかもすっごい笑顔で♪

私だったらできるかな?
いや、ちょっとムリだなぁ…(−_−;)

そして、イヴァンもメチャクチャやりながらも
実はちゃ〜んと自分の現状に問題意識を
持って、何とかしたいと考えてたんだな。

知恵の木の実(リンゴ)のケーキを
自ら口にするイヴァンを見て、
そのことにも気づきました。

おそらく他人の課題と一緒に向き合う中で…。
私、ちっとも気づいてなかったよ~。

…それから時は流れ、更生プログラムを
無事終えたアダムはイヴァン牧師の助手となり、
今日も新しいプログラム参加者達を
2人で迎えに行きます。

会うなり参加者にひっぱたかれるはΣ(゚д゚lll)
ぐちぐちイヤなこと言われるは
散々なイヴァンですが、
本人は今日も上機嫌♪

教会へ向かう車の中、アダムはイヴァンと
顔を見合わせ子供のように目くばせすると
再生ボタンをポンと押します。

流れてくるのはビージーズの
『愛はきらめきの中に』。

流れ出す曲に合わせてニコニコしながら
歌を口ずさむイヴァン。

そんな横目に見ながらアダムがふっと
笑って物語は終了します。

グスッ、グスッ…❗️

あぁ、ほんとこのシーンだけでも
皆さんにお見せしたいっ❗️

そのあまりに幸せオーラあふれる光景と
イヴァン達の無邪気な笑顔に
映画館のあちこちからすすり泣きが(T . T)

私に至ってはすすり泣くレベルの話では
ございません(笑)

今でも思い出すだけで
ウルウルしてしまいます…。

 

【作品解説】
本作は2005年の作品です。

監督はアナス・トーマス・イェンセン。

監督と言うよりは脚本家としての方が有名で
スサンネ・ビアという、これまた素晴らしい
監督さんとよく一緒に作品作ってます。

2人がかかわった『アフターウェディング』は
アカデミー賞外国語賞にノミネートも
されています。

それこそコメディからサスペンス、
ラブロマンスからアクションものまで
書いちゃう人♪

そして主役のアダムとイヴァンは、
ウルリッヒ・トムセンとマッツ・ミケルセンが
それぞれ演じています。

アダム役、ウルリッヒ・トムセンは
デンマークにかかわらずたくさんの
作品に出演。

スサンネ・ビアの『未来を生きる君たちへ』や
ハリウッド映画『ザ・バンク』、
『キングダム・オブ・ヘブン』
なども。

どれも私としては思い出深いですが最近では
アメリカのテレビドラマ『ブラックリスト』で
物語の鍵を握る重要人物の
アレキザンダー・カークを演じました。

ちょっとコワモテなトムセンは顔もそうですが
ご本人の持つ空気も『厳しくて強い』冬の
エネルギー。

だから悪役が多いし、私もそんなイメージが
どこかあったのですがすっかりひねちゃって
いつもブスッとした顔をしながらも、
実は気配り上手で心やさしいアダムがぴったり。

自分の愚かさを知り、少しずつ本来の
やさしい人に戻っていく様子や
フッと笑ったときの顔がいい。

イヴァンのわがままや自由っぷりに
振り回されている時の、すっごく嫌そうな顔、
迷惑そうな顔がとってもコミカルでまた(笑)

そしてイヴァン役のマッツ・ミケルセン。
彼は北欧、と言うよりヨーロッパを代表する
俳優の1人。

2013年からアメリカで放送された
『ハンニバル』でハンニバル・レクターを
演じてからアメリカでも大ブレイク❗️

2017年2月現在公開中の『ローグワン』
ではヒロインの父であり
デススターの設計者であるゲイレン・アーソ。

そして『ドクター・ストレンジ』では
ストレンジと対立するカエシリウスを
演じており、1月に映画のPRのため
来日もしてました。

ミケルセンは演技ももちろんですが
個人的にその『静』の空気や立ち姿、
動く姿がすごくきれいで(元バレエダンサー)
とっても好きな俳優さんです(^^)

なおこちらは
『穏やかだけどさびしくてはかない。
そしてどこか色っぽい』
秋のエネルギーの人。

それもありどこか悲しくてはかなくて、
しかし芯はものすごく強い人。
または心に深い闇を抱えた人を
演じることが多いです。

そのためぽやぽやだったり、元気ハツラツ
動き回る上に弾丸トーク。

春夏のエネルギーがメインのイヴァン役は
こちらも新鮮でしたが、やっぱり大事な
ところでは力を存分に発揮されてました。

まぁイヴァンのキャラクターに関しては
監督のイェンセンが
『あんな外見+頭いいのに、天然&不思議ちゃん』
であるミケルセンご本人を一部モデルに
している気がしないでも…(笑)

 

【ハリウッドだったとしたら…】
デンマークでは数々の賞を獲得した本作ですが、
悲しいことに日本未公開❗️

日本版DVDも出ていません(T . T)

これほんと切ない❗️

日本版DVDあったら普通に買って落ち込んだとき
絶対見る❗️

日本はコメディがヒットしない国だったりだとか、
デンマーク映画ゆえコメディなのに動物の死骸
やら暴力シーンや流血量が妙に多くて
かつリアルとか、笑いがシュールすぎるとか。

理由はいろいろ挙げられますが…

「デンマーク映画?わっ、シブそう❗️
監督も俳優さんもわかんないし、別にいいや❗️」

これが原因なんですよね、1番は(T . T)

作ったのがきっとハリウッドだったら普通に
映画館で上映されて、DVDもできて、
そこらへんのTSUTAYAにも並んで…。

ということを考えると
ちょっとさびしくなるのですが…。

出会えたことをまず感謝しないとね(*^^*)♪

それにハリウッドだったら上記に挙げた
部分をキレイにして、
『まとまってて平均点の高い』
ものにしただろうけど…。

一方でイヴァンのコメディ要素を強調し
すぎたり、ラストをオーバーに演出し
すぎしたりして、ちょっとしつこい味わいに
してしまっただろうなぁとも思えます。

 

 

【「人生を深刻に受け止めない」】
私の先生の1人であり先日ブログにアップした

『ライフ・イズ・ビューティフル』

の作者でもある岡根芳樹さんは

「人生を深刻に受け止めない」

という言葉をよくおっしゃいますが、
イヴァン牧師の生き方もこの流れの中に
ある気がします。

私はすごくおもしろかったのですが、しかし!
この映画は観る人を選びます(笑)

『心の闇』を認めなかったり、拒否したり、
それこそハリウッド映画に代表されるような
『お約束の成長もの』。

安心して観ていられるものを求めている人は
共感もできないし、おそらく意味が
よくわからないと思います。

一方で過去とてもつらい目に遭ったりして、
心に闇を抱えている人、抱えた経験が
ある人はすごく共感できると思います。

私はほかのことはともかく、
イヴァンの脳腫瘍は、実は
『彼自身が作り出したもの』
だと思っています。

人生にどれだけ絶望したとしても、
牧師である彼は自殺することができません。

だから腫瘍という病気を生み出して
それによって自分を殺そうとしたのでは?と。

ただどうしても最後、一縷の希望だけは
捨てきれなくて、だからこそギリギリの
状態で生きていたのでは?と。

そんなことをふと思ってしまうのです。

この映画は結論のようなものは特に語られず、
あちこちに小さなピースをばらまきながらも
解釈や判断を見るものに委ねています。

2回目鑑賞時に気づいたのはこの作品は

『あえて相手のために踏み込むこと』

の大切さについても描いていたということ。

それを象徴していたのがアダムと
プログラム参加者のグナーの行動の
違いなのですが…。

そこについては文字数の関係から省略します。

「あああっ、そういうこと⁉️」

いやはや、1回目にはほとんど気づきませんでした^_^;

相手を思いやって見守ることは大事なんだけど、
ときには失敗して相手を傷つけること、
そして自分も傷つくことを覚悟した上で
相手のために踏み込むこと。

相手が歩き出すためにやっぱりそれは
大切なこと、そのことも語られておりました。

きっと他にもいろいろ気づいてない部分が
あるんだろうなぁ…。

 

 

【せつなくて滑稽で。そして強い】
せつなくて、かなしくて、滑稽で、弱くて。
でもとっても強くてあったかい。

欠点も乗り越えなきゃいけない課題も
いっぱいなんだけど、生きることに
とってもひたむき。

見終わって数日経ってもイヴァンが見せて
くれた『強さ』の余韻が残っています。

脳腫瘍を消す奇跡を起こしたもの。
イヴァンを生かしたものは神か悪魔か、そ
れはわかりません。

腫瘍以外の状況は変わらず。
だからあのまま死んでいた方が
本当は楽だったのかも?

でも神でも悪魔でも関係ないよね?
彼が感じてこうだ❗️と思った世界が世界の全て。

人ってなんてはかないんだろう。
なんて弱いんだろう。
そして…なんて強いんだろう。

傷つけられても、かなしくても、
はた目から見るともしかしたら滑稽であっても、
それでも人は生きていく。

最後にあたたかな余韻が残りました。

頼む~!
どっかのだれか日本版DVD出して~(笑)!