【シェア会こそ価値がある?心揺さぶる白熱の舞台~『流れる雲よ』~】 | ザ・体験談【お誘いはひらりと】
「数年前に一度観て、とても感動した舞台が
今度東京で公演されることになりました。
よかったらみんなで一緒に観ませんか?」

そのお誘いはメールという形で
ひらっと私の元にやってきました。

今はちょっとお休み中だけど、
昔はシモキタの小劇場から帝国劇場まで、
時間を作ってはあちこちでお芝居や
ミュージカルを鑑賞。

そんな経験があるため、そのお誘いは
本来とっても嬉しいものだったのですが…。

「…特攻隊か…」

メールに書いてあるお芝居の内容を見て、
ちょっと考え込んでしまった私がいました。

今回取り上げるのは
演劇集団アトリエッジ
『流れる雲よ』。

そのアトリエ公演です。

 

【ワクワクと緊迫の?アトリエ公演】
かくして2月25日の夜、私は笹塚にいました。

笹塚と言えば以前ブログで取り上げた
炉端座がありますが、今回行ったのは
炉端座と駅の中間くらいの位置にある、
とあるマンションの前。

そう、そこの地下一階で今回の公演は
行われるのです。

ここで

「あんまりお芝居とか詳しくない〜(T . T)」

という方のために
『アトリエ公演』ってそもそもなんぞや?

というお話をしたいと思います(*^^*)

お芝居と言えばお客さんを呼んで
そこそこ広い場所で公演するもの。

それが一般的な感覚だと思います。

実際それは間違っていません♪

つまりは基本的にオープンと言うか、
むしろ来てもらわないと困るわけ
なのですが…(笑)

その一方で

・所属または客演する劇団員。
・後援者とその繋がりの人達。

など、ごく少数の言ってしまえば
『身内』だけのために開催される
公演があります。

それがアトリエ公演です。

劇団によって多少定義は異なりますが
基本大道具は使わず、小道具も最小限。
更に役者も少人数で行われることが
多いです。

「なんだ、それってなんか地味だね〜」

そういうことなかれ❗️

道具に頼らず人も少なく大道具や照明で
ごまかせず…。
そして基本的に狭い空間で開催されるので
お客さんはかなりの至近距離(笑)

更に同じ役者や後援者→芝居を見慣れており
目が肥えた人が多いため…。

例えて言うと
『江戸前寿司におけるコハダ』
みたいなもの。

劇団のカラーや力量がそのまま反映され、
演者にとってはごまかしの全くきかない、
ある意味通常の舞台より真剣勝負と
なるのです。

そして今回の『流れる雲よ』は
アトリエッジで18年も公演し続けている、
代表作の1つ。

本公演はやはりそれなりの出演者数や劇場で
公演され、時間も2時間くらいなんだそう
ですが、今回はアトリエ公演ということで、
演者はたった5人のみ。

時間も1時間半に満たないくらいの
ショートバージョン。

本公演から更に場面を絞り込んだ内容に
なっているとのことでした。

ではでは話を戻します。

今回の声かけでなんと15人前後の
メンバーが集まり、みんなで一緒に
お芝居を観ることになりました。

すでに演者の数倍の人数(笑)

私自身これまで多くとも2、3人。
こんな大人数でお芝居なんか観たことない❗️

というわけで会場までの時間で
すでにワクワク💕

周りの人とおしゃべりをしていると
開場の案内がされ、中に入ります。

「うわ♪せっま(≧∇≦)❗️❗️」

アトリエ公演ということや外から見た感じで
すでに覚悟はしておりましたが(笑)
会場は一般のマンションの地下一階部分を
ぶち抜いて作った施設。

後でお話を聞いたところ、普段は稽古場と
して使われている場所とのことでした。

座席や舞台との距離はまさに
シモキタ小劇場もびっくりレベル。

小さなイスがギュウギュウに詰めて置かれ、
イスがないところからが『舞台』(笑)

慣れないと

「え〜Σ(゚д゚lll)❗️」

という感じでしょうが、私はと言うと

「うわ〜芝居観にきたって
感じしてきた〜( ̄▽ ̄)✨」

おまけに私の左右には参加メンバーの中でも
屈指の男前2人が座り、いやが上でも
上機嫌に(≧∇≦)♪

あぁっ、はしゃぎすぎてごめんなさいっ❗️

こっからちゃんと書きますから、
お芝居の内容書きますからっっっ(つД`)ノ❗️

というわけで気を取り直し?お芝居について。

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・

ストーリーは昭和20年の夏。
鹿児島の航空基地に主人公の坂本光太郎が
赴任してくるところから始まります。

光太郎は小さな弟がいるにもかかわらず、
特攻隊を志願。

そして基地には整備兵となった
幼馴染・中原正人がいました。
なんの運命のいたずらか、
正人は光太郎の担当に。

また光太郎が赴任した部隊は日本人と
アメリカ人とのハーフである天野中尉や
身重の妻を思い、子供の誕生を心待ちに
している後藤の姿がありました。

最後の日々を天野達や正人と過ごす
光太郎。

そんな中、光太郎は正人に調子の悪い、
自分のラジオの修理を依頼します。

このラジオは2人が幼い日に1から作って
完成させた思い出の品。

正人は修理を試みますが、そこからは
おかしな内容ばかりが聞こえてきます。

やがて2人はそのラジオが未来の電波を
拾っていること、近いうちに広島と長崎に
恐ろしい爆弾が落ちること。

そしてあと数週間で戦争が終わることを
流れてくる音声で知ることになります。

特攻隊に志願したのに、結局日本は
負けるという現実を突きつけられる
光太郎。

そんな時、光太郎の部隊に出撃命令が
下されます…。

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・

先ほどもお伝えしましたが、
セットも役者の数も小道具も。

本公演からギリギリの限界まで絞った
ショートバージョン。

『流れる雲よ』アトリエ公演はそんなわけで
脚本の力もさることながら、俳優さん達の
感情、力と熱量で物語が進んでいきます。

それゆえ各登場人物の気合はすさまじく、
会場の空気はおろか、外まで突き出さん
くらいの勢いです。

元々の距離の近さとその空気に圧倒され、
観客もただただ集中。

喉乾いたから何か飲むとか、アメ玉含むとか、
そんなこととてもできない空気です。

それは情熱のような怒りのような。
淋しさのような、やさしさのような。

その全てが力強い。

アトリエ公演、そして『特攻隊』という
ある種の特殊性もかなり関係していると
感じられます。

よかった♪開演直前に
キャラメル口に入れといて(≧∇≦)✨✨

心で密かにガッツポーズをしながらも…
お芝居を堪能させていただきました。

休めるところがないので
正直かなり疲れましたが(笑)
俳優さん達の熱演もあって時間は
あっという間に流れ、そして…

ユーミンの『飛行機雲』が(T . T)❗️❗️

そしてお芝居は終わり、
観に行ったメンバーでシェア会を
することになりました。

 

【シェア会こそ価値がある】
そしてシェア会だったのですが、
みんなが感想をそれぞれ言った後、
ある人からこんな発言が飛び出しました。

「俺はこれ見てなんだか複雑なんだよね…」

決して重苦しくはないのですが
ものすごく考えた末だとわかるその発言に、
皆が自然と集中します。

「もちろん特攻隊の人達の考え方は
すばらしいと思うし、俳優も熱演だった。
だけどこの作品を見たら、当時敵国だった
アメリカの人は一体どう思うのだろうか?

真珠湾や他の場所で家族を失った人は
どう思うのだろうか?」

私はこの言葉を聞いて、胸がジーンと
しました。

それは、これは本当は私も言いたかった
言葉だったから。

「…特攻隊か…」

時を少し戻して、お誘いをいただいた際、
メールに書いてあるお芝居の内容を見て、
ちょっと考え込んでしまった私がいました。

なぜなら『特攻隊』は今まで私が意図的に
避けてきたものだったから。

絵に描いたような映画バカ。

映画館に足繁く通いTSUTAYAに入り浸っては、
片っ端からレンタルする私ですが、
基本的に制限は設けないものの、
意図的に避けているジャンルがあります。

それは
『完全女性向けのキラキラ✨恋愛映画』と
『日本の戦争もの』。

『キラキラ✨女性向け恋愛もの』は
あまりにキラキラすぎて
私の闇寄りの精神が耐えきれないから
なのですが…(笑)

『日本の戦争もの』。

特に第二次世界大戦時の日本を取り上げた
作品は鬼門に近い状態で、
『日本のいちばん長い日』も『永遠の0』も
『出口のない海』も実は見ていません。

単に劇場に行かない、レンタルしない
のではなく自宅にいる時テレビで
流れていても、まず観ません。

『戦争もの』、
『特攻隊もの(人間魚雷・回天も含む)』が
苦手なのは、この手の作品から漂う
異様な力強さです。

力強さって言うのはちょっと違うかな?

「戦争を忘れるな❗️」
「こんなすばらしい人達がいたことを
忘れるな❗️」

申し訳ないとは思いつつ作品から漂う、
この感じがとても苦手…。

もちろん、戦争の記憶は忘れては
いけないとは思います。

その時代を懸命に生きた人達がいたからこそ、
今の私がいることもわかっています。

その上で…うまく言えないんだけど、
私は金子みすゞやスヌーピーの生みの親である
チャールズ・モンロー・シュワルツの志。

自分たち以外の存在やその痛みを気にかけ、
心を配る精神が大好きです。

そしてみすゞの作品が未だに人気だと
いうことからも多くの日本人も
本来同じ気持ちだと思うのですが…。

あまりに片方に強い光を当てると、
もう一方が暗く見えなくなってしまう。

特攻隊は、特にその悲劇性から美化も
されやすいのですが、
片方に光を当てすぎることは戦争で
他国の人も深く傷ついたこと。

時代が悪く仕方なかったとは言え、

「日本や愛する人のために」

という言葉が、特攻隊が体当たりすることで、
結果として多くの他国の人達の命を
奪ってしまったという事実をうやむやに
してしまうような気がしてならないのです。

完全フィクションだったらいいのですが、
戦争ものは当然事実を元にしているわけで…。

だから観ると、作り手の気持ちも、観て

「感動した❗️日本の誇りとすばらしさを
感じた」

という人の気持ちも感じつつも、
心がいつも痛くなってしまうのです。

そんなこともあり私が自分からすすんで観た
日本の戦争ものは『ローレライ』と
『硫黄島からの手紙』、
『戦場のメリークリスマス』くらい。

『ローレライ』は戦争ものの皮を被った
SFもので、いい意味でリアリティないし(笑)

それほどまでに避けてる『日本の戦争もの』、
『特攻隊もの』をそれでも観ることにしたのは
ひとえに声をかけてくださった方が理由でした。

その方が本当に素敵な人で、
この人が観て感動したものなら
ぜひ観てみたい❗️という思い。そして

「この方がお声をかけてくれた作品だから
私がイメージしてしまうものと
少し違うのではないか?」

と考えたからでした。

観終わった後、とってもいい作品でしたし
感動もしましたが…。

やっぱり『特攻隊もの』を観ると
いつも感じてしまう思いも心に残ってしまい、
しかしお誘いいただいた手前
そのことが言い出せずにいました。

そんな時、

「俺はこれ見てなんだか複雑なんだよね〜」

この発言が飛び出したのです。

これを皮切りに参加メンバーの間で
戦争や特攻隊、外国のことや平和についての
様々な意見が出始めました。

誰も茶化さず、かと言って妙な熱を
帯びることもなく。

真剣だけど固くなりすぎることはなく、
笑いやあったかい空気も交えつつ。

自分とはやや見解が違う意見も、
異なった見方もまずは受け止め、
一緒に考える。

答えが出ない話し合いだということは
誰もがわかっていたのですが、
それでもみんなで向き合った…
そんなすばらしい時間でした。

そんなステキなメンバーに囲まれながら、
私は自分の考えや行動を思い返し、
1人反省していました。

お誘いくださった方も参加した
メンバーも大部分が
前から知っている人達。

私が自分の中のモヤモヤをお話したと
しても、ちゃんと聞いてくれるって
わかってたのに…。

でもそれができなかった。

「人に悪く思われたくない」
「無難に乗り越えたい」

これはひとえに自分自身に矢印が
向きまくってしまった私のせい。

あの一言がなかったら。
続けてみんなが本音を話して
くれなかったら、そのまんまで
終わらせてたな…。

そう思うにつれ、ある種の怖さと
その場にいた人達への感謝が
自然と湧きあがってきました。

そして色んな苦手意識から事実上
逃げ回っていた『特攻隊』について、
みんなの力を借りておそらく初めて、
きちんと向き合うことができました。

 

【心通う人達と一緒に】
『流れる雲よ』本編からだいぶ離れた?
体験談となってしまいましたが(-_-;)

数日経って改めて冷静に考え直して、
やっぱり観に行ってよかったなぁと
思います。

もし脚本や役者さん達にケチをつけている
印象を与えていたらごめんなさい❗️ですが、
言いたいのはむしろその逆。

あの脚本と役者さん達の熱演が
あったからこそ、観客であった
私達の心はいい意味で揺れ…。

結果としてシェア会で色んな意見が出たり、
私も意見を伝えられたのだと思います。

私が映画をよく観ることは書きましたが、
その約8割は暗い内容のものです(笑)

その理由は、明るいことは比較的楽に
考えられますが、暗いことを考えるのは
なかなか大変。

そのため
『作品の力を借りてそこに切り込む』。

こんな理由からそういう配分と
なっています♪

加えて心通う人達がいれば…。

まぁ、これについては私の『闇の性分』が
どうしても『闇の中の美しさ』に
惹きつけられる点も否定できない
ですけど(笑)

何が言いたいかと言うと、
結局『流れる雲よ』も
これと同じだということ。

普段なら考えられないことを
考えるためのものとして。

誰かと意見を交わすためのものとして。

脚本家の方や役者の皆さんは色んな思いや
主張を持っているけれど…。

それをしっかり受け止めた上で、
きちんと咀嚼し自分の感じたものや
他の人の意見も加えつつ、
自分のものとすればいい。

今回観て1番心に残った登場人物は
主人公・光太郎の幼なじみにして
整備兵の正人でした。

「あいつは兵士になるしかなかったんだ❗️」

特攻機を火災から守るために
亡くなった16歳の整備兵に対し、
そう言った正人でしたが、
実はそれは光太郎も同じ。

家族がいるのに特攻隊に志願し、
現実を受け入れるためにもある意味
『特攻隊の精神』を持たざるを
得なかった幼なじみをどんな想いで
見守るしかなかったか?

戦後、笑顔の裏でどんな思いで
生き抜いたのか?

正人は当然架空の人物ですが、
同じような思いを持って生きた、
また生きている人がいることを想像すると、
胸がジーンとなってきます。

…戦争ってやっぱり悲しいなぁ。

その人が敵だろうが、味方だろうが、
亡くなった人だろうが、残された人
だろうが関係なく。

考えるとつらくて悲しくて涙が
止まらなくて、だから私は
戦争ものが苦手なのかもしれません…。

特攻隊については色々な意見が
あるけど、これからの日本のために
命をかけてくれたというのは事実。

そのことから逃げてはいけないです
よね…。

72年前、様々な思いを持って、
空の向こうに飛び立った人達を
思いつつ…。

 

【8月に本公演】
『流れる雲よ』は8月に東京で
本公演が予定されています。

しかしこの公演は…すでに貸切?
劇団HPには予定や詳細は
出ていないので興味のある方は
ぜひ自力でチェックを(笑)♪

もし観に行くことになったら。

その時は1人でももちろんいいですが、
もしできることならあなたと
心通い合う、このテーマを語り合える、
誰かとぜひ行ってみてください。

今回の私の1番の後悔はお声がけ
くださった方に当日に本音を
言えなかったこと。

その上で先にブログで
書いてしまったという…^_^;

私は基本的に1人でいること、
1人で考えるのが大好きですが、
その器を大きくしてくれたり、
方向性を正してくれるのは
いつも他の誰かでした。

そしてもちろん今回も…。

「ごめんなさい」

と共に

「こんなステキな機会を与えて
くださって、ありがとうございます」

そんな言葉を伝えられたら
いいなと思います。

 

『演劇集団アトリエッジ』
http://www.djdj.co.jp/at/index.html